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掲載日:2022年7月29日

血管外科

血管疾患と治療

大動脈解離

動脈の壁は内膜、中膜、外膜でできています。動脈解離とは、急激な血圧の上昇などにより、内膜に亀裂が入り中膜部分が裂けていく病気です。

大動脈解離は、突然発症し、放置すれば、発症後48時間以内に50%、1週間以内に70%、2週間以内に80%の高率で死亡するといわれる予後の不良な病気です。

もともとの血液の通る場所を真腔といい、血管がさけたことによりできた血液のとおる場所を偽腔といいます。血管がさけたことにより本来血液が通らない部分に血液がながれ圧がかかり血管が太く動脈瘤となることもあります。また、大動脈から分岐している重要な血管(頭、心臓、腹部内臓臓器、下肢)を閉塞させる場合もあります。そのため、非常にやっかいな病気です。

偽腔の血流状態から、偽腔に血流のあるものを偽腔開存型、偽腔が血栓で閉塞したものを偽腔閉鎖型に分けられます。大動脈解離の原因としては、大動脈壁の脆弱さ、動脈硬化、高血圧などが考えられており、各々が様々に絡み合って、突然に発症すると考えられています。

大動脈解離1

 

 A型大動脈解離

A型大動脈解離は、急死にいたる合併症(心嚢内への破裂・出血、心筋梗塞、大動脈弁閉鎖不全症、心不全など)を生じやすく、速やかな外科的治療が必要になります。緊急手術までの間に、破裂により突然死することもあり、予断を許さない状態が続きます。一般的に、A型解離に対して、上行大動脈人工血管置換術または上行大動脈+弓部人工血管置換術などが行われます。手術リスクも10-30%前後あり危険率の高い手術のひとつとされてきましたが、近年手術手技の改良、人工血管の改良、体外循環法の確立などにより、手術成績の向上が報告されつつあります。偽腔に血流のない偽腔閉塞型(血栓閉塞型)のA型大動脈解離は、全身状態などにより保存的に経過を見る場合もあります。

A型大動脈解離1

 B型大動脈解離

B型大動脈解離は破裂、臓器障害などの合併症の発生時には緊急手術を要しますが、治療の原則は、血圧を下げ、解離の進展、破裂や臓器障害などが起こらないように集中治療管理が行われます。緊急手術は、死亡率が高いため、最近ではステントグラフト術が行われることが多く、胸部ステントグラフトを行っている施設でないと対応困難なことが多いです。緊急手術が必要でない場合は、集中治療室などで血圧・疼痛の管理を行いますが、解離の進行、解離瘤の増大で手術が必要になる場合もあります。最近では、解離瘤の増大に対して早期(解離発症6ヶ月から1年以内)にステントグラフト術を行う方が、慢性期に開胸手術などを回避できる可能性も示唆されています。そのため、解離瘤の状態により、早期にステントグラフト内挿術をおこなうこともあります。

慢性期に動脈解離部分が瘤化した慢性大動脈解離(解離性大動脈瘤)に対しての治療は、人工心肺を使用し人工血管に置換されます。しかし大動脈解離部分すべてが治療されるわけではないため、残存した解離血管のほとんどはそのままの状態で残っています。慢性大動脈解離に対する人工血管置換術は、成績が悪いことも有り、最近ではステントグラフト術を行う場合もあります。将来的に残った解離腔が拡大し、破裂しないように、血圧の管理、生活習慣病の予防などの厳重な管理が必要です。そのため、定期的に通院加療が必要になります。

B型大動脈解離1

 

B型大動脈解離2

 

 

お問い合わせ

地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉県立循環器・呼吸器病センター  

郵便番号360-0197 埼玉県熊谷市板井1696

ファックス:048-536-9920

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