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掲載日:2020年12月14日
“遺伝子”は染色体よりもさらに細かい設計図の単位です。主として様々な種類のタンパク質を指令し、全染色体上に約2万~2万5千種類程度存在することが分かっています。
“遺伝子検査”とは“染色体検査”では判定できない遺伝子単位の変化でおこる先天異常症候群にターゲットを定めた検査です。
主に次の2種類の解析方法を用いて調べています。
目的のDNA領域をPCRと呼ばれる技術で増幅し、電気泳動法を用いて遺伝子内部の塩基配列変化を判定する方法です。
遺伝情報の最も細かい部分を調べますが、通常調べられるのは1種類の遺伝子のみです。通常の遺伝子検査と言えばこの方法を指します。
当検査室では現在約40種類を超える単一遺伝子疾患のサンガー法による解析が可能です。
【サンガー法遺伝子解析例】
DNAプローブのハイブリダイゼーションと連結(ライゲーション)、PCR増幅技術を組み合わせ、数十箇所の微細な遺伝子内部領域を調べる方法です。
遺伝子内部には塩基配列が集まってできた少し大きいサイズのかたまり(エクソンと呼びます)が複数存在し、これらの量的変化を評価するのに有用です。サンガー法は細かい塩基配列を読むことは得意ですが、逆にエクソン単位の量的評価は困難であり、サンガー法で見つけられない部分を補うことができる遺伝子検査と言えます。現在50種類を超えるKitを用いて運用しています。
【MLPA法原理】
【MLPA法解析例】
遺伝子 |
疾患名 |
件数 |
GJB2 |
先天性難聴 |
175 |
PTPN11 |
ヌーナン症候群 |
68 |
NSD1 |
ソトス症候群 |
42 |
BRAF |
CFC症候群 |
32 |
CHD7 |
チャージ症候群 |
30 |
FGFR2 |
クルーゾン症候群/ファイファー症候群/アペール症候群 |
22 |
HRAS |
コステロ症候群 |
21 |
FGFR3(Gly380Arg) |
軟骨無形成症 |
19 |
FGFR3(Asn540Lys) |
軟骨低形成症 |
16 |
COL4A5 |
アルポート症候群 |
15 |
FGFR3(Pro250Arg) |
ムエンケ症候群 |
14 |
NIPBL |
コルネリア・デ・ランゲ症候群 |
12 |
L1CAM |
X連鎖性水頭症 |
8 |
MECP2 |
レット症候群 |
8 |
FOXL2 |
眼瞼裂狭小症候群 |
7 |
TWIST1 |
セトレ・コーツェン症候群 |
7 |
JAG1 |
アラジール症候群 |
5 |
SBDS |
シュバッハマン・ダイアモンド症候群 |
5 |
SETBP1 |
シンツェル・ギーディオン症候群 |
5 |
TGFBR1 |
ロイス・ディーツ症候群 |
5 |
TGFBR2 |
ロイス・ディーツ症候群 |
5 |
TRPS1 |
毛髪・鼻・指節症候群 |
5 |
EXT2 |
遺伝性多発性骨軟骨腫 |
4 |
FBN1 |
幸福顔貌骨異形成症I/先端短肢異形成症 |
4 |
RSK2 |
コッフィン・ローリー症候群 |
4 |
SMAD4 |
ミーレ症候群 |
4 |
EDA |
減汗性外胚葉異形成症 |
3 |
EFNB1 |
頭蓋・前額・鼻症候群 |
3 |
GLI3 |
グレイグ尖頭多合指症候群/ パリスター・ホール症候群 |
3 |
B3GALTL |
ピータース・プラス症候群 |
2 |
MYCN |
ファインゴールド症候群 |
2 |
PTCH |
ゴーリン・ゴルツ症候群 |
2 |
CPS1 |
カルバミルリン酸合成酵素欠損症 |
1 |
EXT1 |
遺伝性多発性骨軟骨腫 |
1 |
HOXD13 |
多合指趾症 |
1 |
KIF22 |
関節弛緩を伴う脊椎骨端骨幹端異形成症2型 |
1 |
NOG |
多発性骨癒合症候群 |
1 |
RBM8A |
血小板減少-橈骨欠損症候群 |
1 |
RUNX2 |
鎖骨頭蓋異形成症 |
1 |
SRY |
性分化異常症 |
1 |
DMD(MLPA解析) |
デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー |
14 |
IKBKG(MLPA解析) |
色素失調症 |
3 |
SHOX(MLPA解析) |
レリーワイル症候群/低身長 |
54 |
DMPK(リピート解析) |
筋緊張性ジストロフィー |
19 |
FMR1(リピート解析) |
脆弱X症候群 |
11 |
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