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掲載日:2024年10月3日

希少がん・サルコーマセンター

希少がん・サルコーマセンターのご紹介

 ご挨拶

 希少がんは2015年の厚生労働省の検討会によって、人口10万人あたりの年間発生率(罹患率)が6例未満のもの、数が少ないがゆえに診療・受療上の課題が他のがん種に比べて大きいものと定められました。200種類近い悪性腫瘍が希少がんに分類されていますが、その中でも肉腫(サルコーマ)は、骨、筋肉、神経、血管、脂肪組織など従来の臓器別の診療体制に収まりにくい部位に発生し、しかも発生頻度が少ないため多くの施設で診断・治療に難渋されてきました。また、診療には肉腫の診断と治療に精通した整形外科・形成外科などの外科医チーム、薬物療法医、病理診断医、放射線診断・治療医からなる集学的治療を要します。患者さんは比較的若い世代でみられることも多く、限られた遠方の専門施設での診療を受けるために患者さんやご家族に多大なご負担をかけて参りました。
 埼玉県に在住する患者さんが県内で最適な治療を受けられるよう、2018年4月、当院に希少がん・サルコーマセンターを開設しました。当センターは他都県の専門施設での診療経験豊富なスタッフを揃え、院内の診療科、他の専門施設と連携しながら早期で正確な診断と最適な集学的治療を提供し、埼玉県で希少がん・サルコーマで苦しむ患者さんを一人でも減らすように全力で取り組んでいます。

                                                 staff_kobayashi                                           

希少がん・サルコーマセンター長

小林 泰之

 最新情報

  • 病院情報局DPC全国統計(https://hospia.jp/dpc)にて当センターは、2021年(2024/2/13検索時点の最新データ)のデータにおいて、骨悪性腫瘍手術数 全国第3位、四肢・体幹軟部悪性腫瘍手術数 全国第10位でした。

  • 2024年2月、五木田医師が日本サルコーマ治療研究学会 広報・アドボカシー委員に就任しました。

  • 2024年2月9~10日、第7回日本サルコーマ治療研究学会学術集会において五木田医師が「当センターにおける婦人科領域肉腫の治療体制」の発表を、此枝医師が「Unplanned excision前後での皮膚切除範囲の拡大率についての検討」の発表を行いました。

  • 2023年7月13日、第56回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会において、整形外科から7演題が採択され発表を行いました。

  • 2023年5月13日、第5回AYAがんの医療と支援のありかた研究会学術集会にて、五木田医師が「AYAがん患者と運動~エクササイズ・オンコロジーのエビデンス」の講演を行いました

  • 2023年2月24日 第6回日本サルコーマ治療研究会学術集会において、当センターより3演題が採択され発表を行いました。

  • 2023年2月22日 Soft Tissue Sarcoma Expert Meeting in Saitamaにおいて、五木田医師が「婦人科領域肉腫における当院サルコーマセンターの治療体制」の講演を行いました。

  • 2022年7月21日 Meet the Expert Forum~肉腫の地域連携を考える会において、乳腺腫瘍内科山田医師が発表を行いました。

  • 2022年7月14日~16日 第55回日本整形外科学会 骨軟部腫瘍学術集会において当科から11演題が採択され発表を行いました。

  • 2022年6月18日 埼玉県整形外科医会学術講演会にて五木田医師が「がん運動器診療トピックスー肉腫治療とがんロコモ診療の今」の講演を行いました。

  • 2022年2月4日 第5回 日本サルコーマ治療研究学会学術集会において当センターの演題「皮膚/軟部血管肉腫の当施設の経験」が採択され発表を行いました。

 基本方針

  1. 希少がん(サルコーマ、癌肉腫等)を集約し、治療成績向上を目指します。
  2. 各専門領域の医師が連携し、より良いチーム医療を提供します。
  3. 安全な医療を提供しながら、新規治療方法を開発します。
     

 サルコーマとは?

  • 肉腫(サルコーマ; Sarcoma )とは骨や軟部組織に生じる悪性腫瘍で、よく知られている肺癌や胃癌といった粘膜などの表面から出た「癌」と異なり、全悪性腫瘍のうちの1%前後と稀な病気です。軟部組織とは脂肪、筋肉、腱、神経、血管などを指し、これらは全身に含まれる組織であるため、肉腫(サルコーマ)は、手足や体幹部(胸部・腹部・腰・背中)など体のあらゆる部位に発生します。当センターでは発生部位によらず、肉腫(サルコーマ)の診療に当たります。

 サルコーマの治療

1 手術療法
  • 肉腫(サルコーマ)を完全に取りきるためには、再発を防ぐための安全かつ十分な切除法を熟知した肉腫治療専門医による手術が必要です。当センターでは筋膜・骨膜など、腫瘍進行のバリアーとなる体内組織を利用し、十分な健常組織で腫瘍を包み込んで切除する安全な切除縁の概念に基づいた手術を行っています。
  • 小児や若年者に発生する骨の悪性腫瘍の代表である骨肉腫は、早期に微小転移が生じるため、切開生検による診断がつき次第早急に化学療法(抗がん剤)を開始しています。一部の術前化学療法無効例を除きますが、原則的に患肢温存手術(手足を切断しない手術)を行っています。
  • 重要な神経・血管などに肉腫が近接する場合の安全な切除法として、In Situ Preparationという手法を行っています。これは術前画像検査で腫瘍が神経・血管と接していると予想される場合に、一旦ビニールシートで隔離して体内での腫瘍播種を防止しながら、神経・血管を腫瘍から剥離して安全にこれらを温存する方法です。この方法により、手足の切断を避けることができる場合があります。また本法により神経を温存することで機能損失を少なくすることが可能です。適応については、ご相談ください。
  • 腹部・骨盤や後腹膜に発生した肉腫で切除不可能と言われた患者様でも、外科チームの総力で治療可能な場合があります。ぜひご相談ください。

肉腫(サルコーマ)の基本的な知識と、当科で行う手術療法について、以下の動画を参考としてください。

 第43回埼玉県民のための「がんの集い」「希少がんサルコーマ(肉腫)の整形外科治療」 五木田医師講演

2 薬物療法や放射線治療
  • 肉腫(サルコーマ)は稀な病気である上に発生部位もタイプ(組織診断名)も多彩なため、薬物療法や放射線療法の効きやすさも様々です。中には手術ができないほど広がった状態で見つかった方でも、手術療法のほか放射線療法抗がん剤などの薬物療法を組み合わせた集学的治療によって治るタイプがあり、その機会を逃してはなりません。逆に薬物療法などが効きづらいタイプも多く、いずれも当院では抗がん剤の専門医(腫瘍内科医)が、分子標的薬などの新規の薬剤による治療も行いながら、患者さんの生活に沿って治療を行っています。また別の選択肢として、稀な病気ゆえに定まった治療が少ないことから、よりよい治療を目指した臨床試験または治験と呼ばれる新しい治療の試みも提案できるよう他施設と連携する体制を取っています。
     

 サルコーマカンファレンス

 当科ではきわめて発生頻度の少ないいわゆる「希少がん」に含まれるサルコーマ(肉腫)患者さまについて、複数の診療科や他のメディカルスタッフを交えた会議を行って治療方針を決定しています。「サルコーマカンファレンス」の名称で、月1回会議を開催しています。これにより、医師1人の判断ではなく、複数の医師やコメディカルスタッフの意見をもとにした総合的な治療判断が可能となっています。
 

 当センターで治療可能なサルコーマ

サルコーマは多数の組織型からなりますが、非常に稀な「希少腫瘍」を含めほとんどすべての病名に対応可能です。
以下、センターで治療可能な主な腫瘍名を記載します。

 

 希少がん・サルコーマセンター メンバーのご紹介

 当センターでは、診療科の垣根をこえて各専門領域の医師が連携して診療に当たります。

五木田 茶舞 ゴキタ タブ

五木田DrR3副センター長、サルコーマカンファレンスリーダー
整形外科科長兼診療部長

担当

四肢・体幹のサルコーマ

資格

その他

日本サルコーマ治療研究学会 評議員

東京医科歯科大学医学部 臨床准教授

北関東骨軟部腫瘍ネットワーク研究会 共同代表
特定非営利活動法人 骨軟部肉腫治療研究会 幹事
関東骨軟部基礎を語る会 幹事
埼玉骨軟部腫瘍研究会 世話人

埼玉県小児固形腫瘍研究会 世話人

日本サルコーマ治療研究学会 広報・アドボカシー委員
重粒子線治療・骨軟部腫瘍専門部会員
軟部腫瘍診療ガイドライン委員
Teladoc社「The Best Doctors in Japan2022-2023」選出

神田 浩明 カンダ ヒロアキ

神田浩明医師副センター長、病理診断科科長兼診療部長

担当

サルコーマの病理診

資格

その他

医学博士

日本病理学会専門医・指導医

日本病理学会分子病理専門医

日本臨床細胞学会専門医・指導医

小柳 広高 コヤナギ ヒロタカ

小柳Dr画像サルコーマカンファレンスサブリーダー、整形外科副部長

担当

四肢・体幹のサルコーマ

資格

その他

日本整形外科学会 専門医・認定医

医学博士(東京医科歯科大学)

埼玉骨軟部腫瘍研究会 幹事

日本リハビリテーション学会会員

関東整形災害外科学会会員

東日本整形災害外科学会会員

日本サルコーマ治療研究学会会員

がんリハビリテーション講習会 修了

日本癌治療学会会員

悪性骨腫瘍ガイドライン委員

身体障害者福祉法指定医

臨床研修指導医

東京医科歯科大学 整形外科 非常勤講師

松岡 陽 マツオカ ヨウ

松岡Dr画像泌尿器科科長兼診療部長/平成9年 東京医科歯科大学卒 東京医科歯科大学大学院修了

担当

後腹膜腫瘍

資格

その他

本泌尿器科学会専門医、指導医

日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

厚生労働省 臨床研修指導医

日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会認定 泌尿器ロボット支援手術プロクター

腹腔鏡下小切開手術 施設基準医、練達医

身体障害者福祉法指定医

難病指定医

共用試験医学系臨床実習前OSCE評価者

日本泌尿器科学会 学会賞

日本泌尿器科学会 総会賞

International Journal of Urology,Editorial Board Member

東京医科歯科大学医学部 臨床教授

堀江 弘二 ホリエ コウジ

写真:堀江 弘二

婦人科科長兼診療部長/平成8年 東京大学卒  平成15年 東京大学大学院卒

担当

婦人科領域の肉腫

資格

その他

日本産科婦人科学会 専門医 指導医

日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医 指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

永井 成勲 ナガイ シゲノリ

乳腺腫瘍内科副部長

担当

薬物治療

資格

その他

日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医・指導医

医学博士

日本がん治療認定医機構 がん治療認定医・暫定教育医

日本乳癌学会 認定医

日本外科学会 認定登録医

山田 遥子 ヤマダ ヨウコ

乳腺腫瘍内科医長

担当

薬物治療

資格

その他

日本内科学会 総合内科専門医

日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医

原発不明がん診療ガイドライン協力委員

長嵜 寿矢 ナガサキ トシヤ

長嵜Dr消化器外科 大腸外科科長

担当

腹部サルコーマの外科治療

資格

その他

日本外科学会 認定医・専門医・指導医

日本消化器外科学会 専門医・指導医

日本内視鏡外科学会 技術認定医

日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

医学博士

大野  吏輝 オオノ リキ

Dr_Oono消化器外科 大腸外科医長

担当

腹部サルコーマの外科治療

資格

その他

日本外科学会 専門医

日本消化器外科学会 専門医・指導医

日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医

日本内視鏡外科学会 技術認定医・評議員

日本内視鏡外科学会 ロボット支援手術認定プロクター(消化器・一般外科)

日本大腸肛門病学会 専門医

日本臨床外科学会 評議員

日本消化器病学会 専門医

日本消化管学会胃腸科 専門医

日本肝臓学会 専門医

日本がん治療認定医機構がん治療認定医

Intuitive社によるロボット手術のcertification取得

日本ロボット外科学会専門医

日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会ストーマ認定士

医学博士

高橋 遍 タカハシ アマネ

高橋 遍消化器外科 肝胆膵外科科長

担当

腹部サルコーマの外科治療

資格

その他

日本外科学会 専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医・評議員
日本内視鏡外科学会 技術認定医 (腹腔鏡下肝切除術にて取得)

日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

欧州内視鏡外科学会 (EAES)member

医学博士

濱畑 淳盛 ハマハタ アツモリ

濱畑Dr形成外科科長兼診療部長

担当

サルコーマ切除後の組織再建

資格

その他

日本形成外科 専門医

日本形成外科学会 領域指導医

日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

再建・マイクロサージャリー分野 指導医

皮膚腫瘍分野 指導医

大芦 孝平 オオアシ コウヘイ

皮膚科大芦孝平皮膚科副部長

担当

皮膚にできるサルコーマ

資格

その他

日本サルコーマ治療研究学会 評議員

日本皮膚科学会 皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン改定委員会委員

日本形成外科学会 専門医

日本形成外科学会 皮膚腫瘍外科指導専門医

がん治療認定医機構 がん治療認定医

医学博士

JCOG1605試験研究事務局

2013年度  日本形成外科学会学術奨励賞 受賞

2014年度  日本皮膚悪性腫瘍学会賞 受賞

工藤 滋弘 クドウ シゲヒロ

工藤滋弘放射線治療科科長兼診療部長

担当

サルコーマの放射線治療

資格

その他

日本医学放射線学会 放射線治療専門医

医学博士

 

和田 達矢 ワダ タツヤ

放射線診断科医長

担当

サルコーマの画像診断・画像支援下生検(IVR)

資格

その他

日本医学放射線学会診断専門医

日本IVR学会専門医
日本核医学会専門医

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 臨床試験の取り組みについて

当センターは、以下の多施設共同研究グループの参加承認を得ており、サルコーマの標準治療の確立と治療の進歩のために研究協力を行っています。

日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG:Japan Clinical Oncology Group)

骨軟部肉腫治療研究会(JMOG:Japanese Musculoskeletal Oncology Group)

日本小児がん研究グループ(JCCG : Japan Children’s Cancer Group)

 

 がん遺伝子パネル検査について

 当センターはがんゲノム医療中核拠点病院であり、「がんゲノム医療」を推進しております。治療法が決して多いと言えないサルコーマ、癌肉腫や原発不明がんで、標準治療が終了した患者様において、ゲノム医療の可能性を調べる「遺伝子パネル検査」を行っています。詳しくはがん遺伝子パネル検査をご覧ください。

 

 外来診療のご案内

 希少がん・サルコーマセンターの診療は、整形外科および乳腺腫瘍内科が窓口となっております。診療担当表はこちら 

 サルコーマ、癌肉腫の診療をご希望の患者様

 サルコーマ初診外来; 整形外科(担当:五木田、小柳) 毎週水曜日

乳腺腫瘍内科(担当:永井、山田)毎週木曜日

 整形外科初診外来;(担当:五木田、小柳、澤村、真鍋、川口)

 

 希少がん・サルコーマ ホットライン

「希少がん」・「サルコーマ(肉腫)」・「がん肉腫」と診断されお困りの患者様に電話・メール相談窓口を設置いたしましたのでご利用ください。医療者の方もご利用可能です。

ご相談の例)
 ・手足や背中、腹部などに“悪性かもしれない”と言われたしこりがある、、、
 ・都内で治療をしているが、同じ治療を当センターでできますか?
 ・「がん」か「肉腫」か、はっきりしない腫瘍と言われた、、、
 ・手術で取れない「サルコーマ(肉腫)」と言われたがどうか、、、
 ・遺伝子パネル検査について聞いてみたい、、、
 

<希少がん・サルコーマメール相談窓口>
 g.sarcoma@saitama-pho.jp

 

*氏名、メールアドレス、電話番号、患者年齢、性別、現在の治療施設名、病名を必ずご記載ください。
(記載のないメールには回答をすることができません)

 * 当センター受診に関するご相談をお受けしています。
 * センター受診の場合には、診療情報提供書が必要です。
 * メールの返信には数日~1週間程度いただくことがあります。
 * 現在治療中の患者様の、身体症状についてのご相談はできません。


<希少がん・サルコーマ電話相談窓口>
  地域連携・相談支援センター
  048-722-1111(代表)

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お問い合わせ

地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉県立がんセンター  

郵便番号362-0806 埼玉県北足立郡伊奈町小室780番地 埼玉県立がんセンター

ファックス:048-722-1129

※※お問い合わせフォームご活用時の注意点※※

上記フォームからの受診や治療等に関するお問い合わせについては、医療上の安全確保のため回答しておりません。
受診や治療等に関するご相談は、患者サポートセンターへ直接お電話でお問い合わせください。
担当の者が内容を伺い対応させていただきます。
なお、既にがんセンターを受診している方の場合は、診療科外来へお問い合わせください。

【患者サポートセンター連絡先】
電話番号:048-722-1111(代)※「患者サポートセンターに相談したい」とお伝えください。
受付時間:平日9時~12時、14時30分~15時30分

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