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掲載日:2023年9月8日
がんゲノム医療のご紹介
私たちの体を構成している細胞の中には、遺伝情報(これをゲノムといい、DNAという物質でできています。)が存在します。このゲノムの中で、特にタンパク質をつくるのに必要な部分を遺伝子と呼び、2万種類ほどがあることが分かっています。がんが発生する主な原因はこの遺伝子の異常、すなわち遺伝子に変化が入ることだとされています。
肺がんや消化器がんなど、一部のがんの治療では、すでに標準治療として、がんの組織を用いて1つまたはいくつかの遺伝子を調べる「がん遺伝子検査」を行い、遺伝子の変化に対応した薬が使われています。
がん遺伝子パネル検査は、がんに関連する遺伝子の変化を多数同時に測定する検査で、がんのなりたちを調べ、治療と関連する遺伝子の変化を調べることが可能です。この検査により、あなたのがんに特徴的な異常を見つけることで、治療法の選択に役立つ場合があります。
その他にも、最近では、がんの遺伝子変化から、特定のがんの診断や、追加治療の必要性の検討や、効果が高そうな薬物治療(抗がん剤)の選択の補助に用いることもあります。このように、ゲノム情報を活用したがん診療をがんゲノム医療と呼びます。
全国に、12のがんゲノム医療中核拠点病院や33のがんゲノム医療拠点病院、189のがんゲノム医療連携病院が(令和4年4月1日現在)指定されており、全国どこでもがんゲノム医療が受けられるようになることを目指して、体制づくりが進められています。
がん遺伝子パネル検査とは、がんの組織を用いて、一度にたくさんの遺伝子を調べる検査のことです。遺伝子の変化を明らかにすることで、自分にあった薬物治療をさがすときに利用します。
現在、保険診療で行えるがん遺伝子パネル検査は、以下の3つがあります。
がん遺伝子パネル検査は、全国全ての医療機関で実施できるわけではありません。がん遺伝子パネル検査のようなゲノム情報を扱う医療ができるのは、厚生労働省が指定した医療機関に限定されています。
がんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院が全国に指定されており、指定された医療機関であれば、がん遺伝子パネル検査が実施可能です。
がんゲノム医療中核拠点病院等一覧表000858639.pdf (mhlw.go.jp)
埼玉県立がんセンターは、がん遺伝子パネル検査を、2019年10月より院内で開始いたしました。検査の対象者は、少なくとも下記の条件を満たす必要があります。当センターで治療中の患者さんは、主治医に希望を伝えてください。
他施設に通院されている患者さんで、当センターでの、がん遺伝子パネル検査をご希望の際には、まず主治医に相談の上、現在通院中の医療機関から、当センター地域連携室へ連絡をくださいますようにお願いいたします。
(連絡先)
埼玉県立がんセンター
がんゲノム医療センター(内線5218)
または、地域連携室
TEL:048-722-1111
がん遺伝子パネル検査を受けるには以下の条件を全て満たす必要があります。
①原則20歳以上(診療科により異なりますので、20歳未満の場合はお問い合わせください。)
②悪性固形腫瘍と診断されている
③治癒切除不能または再発の病変を有し以下のいずれかの条件に該当する
✓原発不明がん
✓標準治療がない(希少がん)
✓標準治療が終了している
✓標準治療の終了が見込まれる
④通院可能で日常生活に支障がない
⑤当院初診の時点で、3ヵ月以上の期間、比較的良い全身状態が見込まれる
⑥初診および1~2ヶ月後の結果報告時に、患者自身が外来受診可能であることが見込まれる
当院の患者さん
1.まずは主治医にご相談ください。検査対象者の条件を満たしているか確認します。
2. 検査についての説明、検査を受ける条件の確認、同意取得、検体の確認後に検査を実施いたします。
検査の所要期間は、検体を発送してから結果をお伝えするまでに、通常5~7週間程度です。
3. 検体の状態が悪いと、再提出となって時間がかかったり、検査ができないことがあります。
当院以外の医療機関に通院されている患者さん
1.現在通院中の医療機関の主治医にご相談ください。
2.現在通院している医療機関より、当センター地域連携室に連絡がきます。
3.検査を受けるための適格条件を満たしていることを確認し、受診日を調整します。
4.受診日が決まると、現在通院中の医療機関から連絡があります。
5.予約の当日は、予約時間の1時間前に「初診受付1番窓口」にお出で下さい。 診察の前に、検査についての説明、検査を受ける条件の確認など、がんゲノム担当者より、事前に説明させていただきます。
検査の結果、患者さんのがんから見つかってきた遺伝子変化に対して、保険診療で使用できる薬や、他のがんで使用されている薬(適応外薬)、まだ国内で承認されていない薬(未承認薬)などが治療薬の候補として検討されます。
国内で承認されていない薬の場合は、治験があれば、それに参加することで、その薬を使用できる可能性があります。適応外の薬を、患者さんのがんに対して使用することは、原則として保険診療では出来ません。そのため、もしそれを希望する場合には、治験や先進医療などの適応外使用が許される臨床試験に参加する必要があります。
これまでに検査を受けた方の約1割が治療を受けることができました。
・がんゲノム情報管理センター
https://www.ncc.go.jp/jp/c_cat/index_kan_jya.html
・国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/genomic_medicine/index.html
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