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掲載日:2021年6月21日

結節性硬化症総合外来(TSCボード)

結節性硬化症総合外来(TSCボード)とは

 結節性硬化症は、身体のいろいろな臓器に、正常組織とは異なって過剰に増殖する過誤組織(良性腫瘍になる場合は過誤腫)という先天性の病変ができる疾患です(図1)。小児期に中枢神経系の病変により発症するてんかんという状態や、皮膚の病変が前面に出る患者さんが多いため神経皮膚症候群という病気の一群に分類されています。皮膚病変としては乳児期から白いあざ(白斑)が複数見られ、学童期には顔の一見ニキビ様のぶつぶつの良性腫瘍(顔面血管線維腫)が見られます。中枢神経系の病変としては、脳に皮質結節、上衣下結節が認められますが、これらは外見的にはわかりません。頭部CT、MRIという脳の画像検査により初めてわかります。そのため、小児期に結節性硬化症と診断されるこどもたちの多くは、私たち小児神経科の診療において、てんかん、知的障害、自閉症等の症状の原因を調べる中で確認されています。最近は、胎児超音波検査の普及により、胎児期より心臓の腫瘍(心横紋筋腫という良性腫瘍)に気付かれ、新生児期に結節性硬化症と診断されることも多くなっています。思春期以降は、腎臓の良性腫瘍(血管筋脂肪腫、AML)、肺の病変(リンパ脈管平滑筋腫症、LAM)など、年齢に応じた多彩な症状が認められます(図2)。それぞれの患者さんで、これらの症状全てを認めるわけではなく、その中のいくつかの症状を認めるのみに過ぎず、しかもその程度は軽症から重症まで様々のため、軽症の方は偶然の検査で、もしくはお子さんの診断を通じ結節性硬化症であることが判明することもあります。この様に、病変は神経や皮膚だけではなく、年齢に応じて様々な臓器に及ぶため、臓器別診療を行っている小児病院においては、結節性硬化症の診療時には多数の診療科連携が必要になります。そこで、年齢に応じ全身臓器の様々な病変が生じる結節性硬化症に対し、年齢と障害重症度に応じ、洩れなく診療できる体制を構築する事を目的に、多数の診療科の連携がより緊密になるように埼玉県立小児医療センターTSCボードを開設しました(図3)。2018年1月17日に、神経科、泌尿器科、遺伝科、脳神経外科、外科、歯科、眼科、地域連携・相談支援センターのスタッフが参画して、第1回SCMC TSCボードを開催し、ボードの在り方、今後の方針が検討されました。2018年5月23日には、放射線科医も参加し第2回ボードが開催され、多様な結節性硬化症患者に対する診療の均質化を図ることを目的に、遺伝科大場医師より結節性硬化症診療ガイドラインが提案されております。

今後の最も大きな課題としては、円滑な成人期移行のための地域連携の深化があげられます。結節性硬化症は、思春期以降に腎臓の血管筋脂肪腫、肺リンパ脈管平滑筋腫症を発症してくるため、成人期移行が必須で、小児病院のみの診療完結は不可能です。結節性硬化症の診療は、院内連携組織であるTSCボードとともに、地域連携が不可欠です。地域連携の深化のためにも、地域診療を担う先生、他施設の結節性硬化症診療に関わる先生からご意見、連携へのご参加をお待ちしております。

 

  • 図1

 改訂版結節性硬化症の診断基準(2012)

  • 図2

結節性硬化症の病変と出現時期

 

  • 図3

埼玉県立小児医療センターTSCボード

 

お問い合わせ

地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉県立小児医療センター  

郵便番号330-8777 埼玉県さいたま市中央区新都心1番地2

ファックス:048-601-2201

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