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掲載日:2024年7月18日
大腸がんは、直腸がんと結腸がんを合わせた総称であり、日本の最近の統計(国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」)において、年間で155,625人(2019年)の方が新たに罹患され、51,788人(2020年)の方が亡くなっています。大腸がんは「腺癌」というタイプの腫瘍が一般的です。
診断方法としては、下部消化管内視鏡検査、全身CT検査、PET検査などを行い、病状の進行(ステージング)を評価します。大腸がんの治療では、内視鏡治療、外科治療、抗がん剤治療、放射線治療が行います。手術前後の抗がん剤治療に関しては消化器外科と緊密に連携を取り合い、週1回カンファレンスを行い、個々の症例について治療方針を検討しています。
消化器内科では、手術可能な患者さんの術後再発するリスクを減らすために手術前後の抗がん剤治療と、転移や再発をきたした患者さんの症状や予後の改善を目的とした抗がん剤治療を主に担当しております。また、内視鏡部では、早期の大腸がんに対して侵襲の少ない内視鏡治療(内視鏡的粘膜下層剥離術)を数多く行っています。
大腸がんでは新たな抗がん剤や分子標的治療薬が承認され、以前よりも長い予後が得られるようになりました。国内外の治療ガイドラインに基づき、がんの遺伝子検査(RAS(ラス)遺伝子、BRAF(ビーラフ)遺伝子、MSI検査)、大腸がんの部位(右側、左側)、年齢や病状の進行具合などから、最適な治療方法を選択するようになったことが要因として挙げられます。また、肝臓や肺に転移や再発があり、抗がん剤治療開始前は外科切除が難しい場合であっても、一部の患者さんで抗がん剤治療がよく効き、外科切除が可能となることもあります(Conversion surgery)。
治療歴のあるBRAF遺伝子に変異がある患者さんに対して、セツキシマブ(アービタックスⓇ)+エンコラフェニブ(ビラフトビⓇ)±ビニメチニブ(メクトビⓇ)併用療法が、2020年に新たに国内承認されました。有効性の高い治療である一方で、注意を要する副作用も多いため、使用経験の少ない医療施設からご紹介をいただくことも可能です。
遺伝性(家族性)大腸癌に関わるミスマッチ修復遺伝子の異常(MSI-H)が認められる患者さんでは、免疫チェックポイント阻害薬であるペンブロリズマブ(キートルーダⓇ)の有効性が報告されていましたが、大腸がんを含めた固形がんを対象に国内で承認されています。また、ニボルマブ(オプジーボⓇ)やイピリブマブ(ヤーボイⓇ)の他の免疫チェックポイント阻害薬が、MSI-Hの大腸癌で2020年に承認されています。この遺伝子変化の頻度は低いですが、遺伝子検査や免疫チェックポイント阻害薬の治療を当科で実施しており、他院からのご紹介も受けています。遺伝性大腸癌の可能性が疑われる場合には、専門医による遺伝子カウンセリングを受けることもできます。
【大腸がんの抗がん剤治療(化学療法)を受けた患者さんの人数(消化器内科)】
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
術後化学療法 |
26 |
31 |
27 |
20 |
51 |
1次化学療法 |
69 |
93 |
73 |
71 |
74 |
2次化学療法 |
46 |
45 |
73 |
48 |
63 |
3次化学療法 |
14 |
24 |
42 |
35 |
35 |
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