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掲載日:2025年7月3日
胆道がんには、肝内胆管、肝外胆管、胆嚢、ファーター乳頭部(十二指腸乳頭部)のがんが含まれます。
胆道がんでは、腫瘍が胆管を閉塞し、胆汁の流出が障害され黄疸をきたすことが、しばしば起こります。黄疸を改善させ、胆管閉塞をコントロールすることは、生活や治療を安定して行うには大切であり、胆汁の流出路を確保する処置(胆道ドレナージ)が必要となります。がんの治療前だけではなく、治療期間中にも胆道ドレナージを行う必要性が生じます。胆道がんそのものへの治療だけではなく、胆管閉塞に対する胆道ドレナージの緊急対応も含め、治療を行っています。
胆道がんの治療としては外科的切除(手術)、抗がん剤治療があります。
消化器内科では
を担当しています。
胆道がんの抗がん剤治療は1次治療としては、以下のいずれかが検討されます。
膵がんはいくつかのタイプに分類されており、そのタイプにより治療方針が異なります。ここでは、一番多いタイプの浸潤性膵管癌について記載します。
消化器内科では
を担当しています。
・浸潤性膵管癌
膵がんは早期発見が難しい疾患です。早期発見ができるよう、膵がんを疑う因子のある方にはCT, MRI, 超音波内視鏡(EUS)といった精密検査を行っています。
しかしながら、痛みなどの症状などがないのに検査をされる方は少ないこともあり、切除ができない病状で発見されることが多いのが現状です。切除ができない場合には抗がん剤治療を積極的に行っています。抗がん剤は1次治療として、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル、または、FOLFIRINOX(5-FU, オキサリプラチン、イリノテカンの3剤併用)のいずれかが検討します。また、2次治療として、ゲムシタビンベース後の場合は、ナノリポソーマル・イリノテカン + 5-FU、 または、S-1がという抗がん剤を使用します。
適切な治療の選択には抗がん剤開始前に組織診断が必要です。その一つの方法として超音波内視鏡下組織採取(EUS-TA)があります。EUS-TAとは超音波のついた内視鏡を用いてリアルタイムに病変を観察し、針を刺し組織を採取する検査です。当院では週3回の検査日をもうけ、膵の組織診断の必要な方には受診後、速やかにEUS-TAでの組織検査を実施し、治療開始までの期間短縮に努めています。
また、当院は『膵がん教室』という取り組みも行っています。膵がん全般、治療や副作用、痛み止め、食事・生活、どう向き合っていくかを患者さん・ご家族に知っていただき、よりよい治療と生活に結び付くことを目的として開くセミナーとして行っていました。現在、感染対策のため集合形式のセミナーの開催はしておりませんが、『膵がん教室ニュース』 として、[疾患][痛み止めの使い方][食事][ご家族・周囲の方に知っていただきたいこと]などについてリーフレットを発行しています。21番外来(2F、消化器内科外来窓口付近)にリーフレットが置いてあります。
【抗がん剤治療を受けた患者さんの人数(主なレジメン)】
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
FOLFIRINOX (膵がん) |
21 |
12 |
4 |
13 |
ゲムシタビン + ナブパクリタキセル (膵がん) |
49 |
71 |
90 |
83 |
ナノリポソーマル・イリノテカン+5FU (膵がん) |
19 |
15 |
30 |
49 |
ゲムシタビン + シスプラチン + デュルバルマブ(胆道がん) |
- |
5 |
36 |
20 |
ゲムシタビン + シスプラチン + ペムブロリズマブ(胆道がん) |
- |
- |
- |
1 |
ゲムシタビン + シスプラチン + S-1 (胆道がん) |
13 |
14 |
3 |
2 |
ゲムシタビン + シスプラチン (胆道がん) |
20 |
9 |
3 |
0 |
【胆道・膵臓関連の内視鏡検査・処置の件数】
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
EUS(超音波内視鏡、EUS-TAを含んだ総数) |
190 |
197 |
209 |
219 |
EUS-TA(超音波内視鏡下組織採取) |
113 |
116 |
133 |
165 |
ERCP関連処置* |
222 |
175 |
240 |
196 |
* 内視鏡的胆管ステント留置術、内視鏡的経鼻胆道ドレナージなど
神経内分泌細胞とよばれる細胞からできる腫瘍で、膵臓、消化管、肺など全身のさまざまな臓器にできます。膵にできる腫瘍の中では比較的、稀な腫瘍になります。神経内分泌腫瘍はさらにNETとNECという2種に分類されます。
NET、NECいずれも病状に応じて、手術、PRRT(Peptide Receptor Radionuclide Therapy: ペプチド受容体各位学内用療法)、または、抗がん剤治療が行われます。
抗がん剤はNETの場合はオクトレオチド、ランレオチド、エベロリムス、スニチニブ、ストレプトゾシン(+5-FU)といった薬剤が悪性度に応じて選択されます。NECの場合はイリノテカン+シスプラチン、エトポシド+シスプラチン、または、エトポシド+カルボプラチンなどの抗がん剤治療が選択されます。
また、2021年秋からは、ペプチド受容体核医学内用療法(PRRT: Peptide Receptor Radionuclide Therapy)が日本で使用ができるようになりました。神経内分泌腫瘍にはソマトスタチン受容体が高頻度に発現していることが知られています。PRRTはソマトスタチン受容体に結合する物質に放射線核種をのせた薬(ルタテラR)を点滴する治療になります。投与された薬は受容体=腫瘍にくっつき、放射線によって腫瘍が攻撃されるという仕組みです(図参照)。PRRTは神経内分泌腫瘍の治療方法の大きな柱の1つに位置付けされています。2024年より、当院では本治療を行っています。
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