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掲載日:2025年5月1日
胃がん、食道胃接合部がん、胃粘膜下腫瘍など
胃外科 |
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午前 紹介 |
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江原・川上 |
江原・西江 |
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午後 再診 |
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江原・川上 |
江原・西江 |
平成9年 順天堂大学卒
専門 |
食道がん・胃がんの外科治療、特に胃がんの腹腔鏡及びロボット手術 |
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資格 |
日本外科学会 専門医・指導医 日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医 日本内視鏡外科学会 技術認定医・評議員 日本内視鏡外科学会 ロボット支援手術認定プロクター(消化器・一般外科) 日本胃癌学会 代議員 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 厚生労働省 臨床研修指導医 医学博士 日本医師会認定産業医 自治医科大学附属病院 外科学講座 消化器一般移植外科部門 非常勤講師 関東腹腔鏡下胃切除研究会世話人 ベストドクターズ社による「The Best Doctors in Japan」選出 |
医長/平成23年 旭川医科大学卒
専門 |
胃外科 |
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資格 |
日本外科学会 外科専門医 日本消化器外科学会 専門医・消化器がん外科治療認定医 日本ロボット外科学会・専門医・国内B級 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 Intuitive社によるロボット手術のcertification取得者 |
医長/平成24年 島根大学医学部卒
専門 |
胃外科 |
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資格 |
日本外科学会 専門医 日本消化器外科学会 専門医・消化器がん外科治療認定医 日本内視鏡外科学会 技術認定医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 Intuitive社によるロボット手術のcertification取得者 |
レジデント/平成27年 名古屋市立大学卒
専門 |
胃外科 |
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資格 |
日本外科学会 専門医 日本消化器外科学会 専門医 消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 Intuitive社によるロボット手術のcertification取得者 医学博士 |
レジデント/平成31年 新潟大学卒
専門 |
消化器外科 |
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*切除可能な胃がん96例のうち、(ロボット / 腹腔鏡 / 開腹=57/33/6)、低侵襲手術90例(93%)でした。
胃癌は日本人が濃い塩分の食事を好んだことや、ピロリ菌の感染者が多かったことから、昔は死亡者数1位の癌でした。近年では食生活の変化、喫煙率の低下、ピロリ菌の駆除により減少傾向にありますが、60歳を過ぎると急激に増加し、いまだ年間11万人(2020年)の患者さんが治療を受けています。
患者数は、男性で前立腺癌・大腸癌・肺癌に次ぐ4位、女性は乳がん・大腸癌・肺癌に次ぐ4位となっています(2020年)。死亡者数は男性3位、女性5位となっており、日本人にとってまだ多い病気であることは間違いありません(2023年)。
しかしながら、発見される胃癌の半数は早期胃癌であり、転移する前に治療すれば96%の患者さんが治る病気でもあります。つまり健診(胃カメラ・胃のバリウム検査)での早期発見が重要なことは、今も昔も変わっていません。
われわれ胃外科グループでは、胃癌と胃粘膜下腫瘍の手術を中心におこなっています。治療方針は日本胃癌学会の胃癌ガイドラインおよび当院での治療成績に沿って決定しています。治療の特徴は以下となっています。
当院は2023年4月に、日本胃癌学会の認定施設Aに選出されました。
この施設認定は2023年4月より発足した新しい制度になります。
手術、抗がん剤、内視鏡の症例数のほか、胃癌治療に関わる専門医の在籍数、学会活動や論文数など、日本胃癌学会の厳しい審査を経て認定されたものです。
2025年2月の時点で、認定施設Aは、がん専門病院や大学病院を中心に全国142施設、埼玉県内では5施設のみが認定されています。
埼玉県立がんセンターは、患者様に安心して胃癌の治療を受けていただけるよう、これからも尽力してまいります。
リンパ節転移の可能性が少ない早期胃癌は、消化器内科と連携して胃カメラによる粘膜切開剥離術(ESD)をおこなっています。胃カメラで治療できない早期胃癌や進行胃癌は腹腔鏡およびロボット手術、胃癌が膵臓や脾臓、肝臓などの周囲臓器におよんでいる高度進行胃癌の場合は、従来の開腹や開胸で大きく臓器を切りとる手術もおこなっています。
腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)とは“腹腔鏡”というハイビジョンカメラでおなかの中を見ながらおこなう手術です。カメラとモニターによる拡大視効果があるため繊細で緻密な手術が可能となります。また非常に小さなキズで手術をするために、従来の開腹手術と比較して元気になるのが早く、術後から退院までの入院期間は短縮し、社会復帰も早くなります。ロボット手術は、外科医がロボットアームを用いておこなう腹腔鏡手術であり、より繊細な手術が可能となります。従来の腹腔鏡手術よりもさらに低率な合併症発生率となるため、胃癌の手術に限らず世界中で急速に普及しています。
2011年より導入した腹腔鏡手術は、開始から2024年末までに1400例以上となり、そのうちロボット手術は300例以上を経験しております。この症例数は全国でも上位の症例数です。
また当院における腹腔鏡による胃癌手術の合併症発生率は、日本内視鏡外科学会の全国アンケート調査1)と比較しても低く、安全かつ確実な腹腔鏡手術が行われていると自負しております。そしてこれまでの治療成績をもとに、腹腔鏡手術の適応を進行胃癌に対しても適宜拡大しています。当院では現在、腹腔鏡による胃癌手術はStage IIIまで、つまりT4a(漿膜に露出する深さ)でN+(近傍のリンパ節転移まで)を適応としています。ただし大型の進行胃癌に関しては従来通り開腹での手術となります。
胃の術後におきやすい栄養障害やダンピング症状などを軽減するために、逆流防止機構を付加した噴門側胃切除など、胃の機能を温存する手術も腹腔鏡手術でおこなっています。
手術後に再発の可能性が高い患者様には外来通院しながらの予防的な抗がん剤治療を行っています。再発もしくは外科的に切除が難しい患者様に関しては消化器専門の腫瘍内科へ御紹介させていただいております。腫瘍内科は抗癌剤治療の専門家であり、お互い綿密に連絡を取り合いながら患者様一人ひとりに適した治療を提供しています。
患者様の痛みや精神的な苦痛に対しては緩和ケア科や精神腫瘍科が対応しています。日常生活に支障を来さないような痛み止めや精神安定剤の使用法に精通しており、患者様や御家族の苦痛を和らげるための治療と環境を提供しています。
治験とは臨床試験であり、国内のたくさんの施設が参加しておこなう臨床研究を意味します。当科では患者様に御協力いただきながら、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の一員として大規模臨床試験を数多くおこない、地域のがんセンターとして情報発信をおこなっています。たとえば手術だけでは根治が難しい患者様に対する、免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬などの新規抗癌剤治療や、進行胃癌に対する腹腔鏡手術や手術支援ロボットによる手術などがこれにあたります。これらは将来に向けて、治療戦略を構築するための大切な臨床研究となります。
一例を挙げますと、我々は2014年5月から“手術支援ロボットによる胃癌手術”を倫理委員会の承諾を得た上で自主臨床試験として開始し、2016年2月からは厚生労働省に承認された“先進医療”に参加して参りました。
その結果、手術支援ロボットによる胃癌手術は“術後合併症を減らすことのできる低侵襲手術である”ことが証明され2)、2018年4月より“手術支援ロボットによる胃癌手術”が保険診療として承認されました。その結果、現在では腹腔鏡と同じ診療費で手術を受けていただくことができるようになりました。
このように患者様に臨床試験へ参加いただくことで、我が国の胃癌治療が大きく発展することが御理解いただけると思います。
また2019年より、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)が主導する“大彎に浸潤する胃上部進行胃癌に対する腹腔鏡下脾温存脾門郭清の安全性に関する第II相試験(JCOG1809)”、2020年からは“cT1-4aN0-3胃癌におけるロボット支援下胃切除術の腹腔鏡下胃切除に対する優越性を検証するランダム化比較試験(JCOG 1907)” に参加しております。
引き続き臨床試験に対し、患者様の御理解と御協力をお願いしたく思います。
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