治療
1. がん薬物療法とその副作用
がん薬物療法とその副作用
がん薬物療法では、がん細胞を攻撃する薬を使用します。がん薬物療法で使用する薬にはいくつかの種類があり、それぞれに特有の効果と副作用があります。
1. 抗がん薬(免疫チェックポイント阻害薬、ホルモン療法除く)
抗がん薬は、がん細胞が増える仕組みを止める働きがあります。体内の健康な細胞にも影響を与えるため、副作用が生じることがあります。
- 吐き気・食欲不振
消化器系の粘膜細胞に影響を与えるため、気持ち悪くなったり、食欲が落ちたりすることがあります。
- 脱毛
毛根細胞がダメージを受けるため、髪の毛が抜けることがあります。
- 骨髄抑制
血液を作る細胞が減少し、感染症にかかりやすくなったり、貧血や出血しやすくなったりします。
- 疲労感
全身のエネルギーレベルが低下し、疲れやすくなります。
- 皮膚障害
発疹やかゆみなどの皮膚トラブルが生じることがあります。
- 高血圧
血圧が高くなることがあります。定期的に血圧を測ってください。
- 間質性肺炎
肺に炎症が起きて、咳が出たり、息が苦しくなったりします。階段を1階昇って息が切れることがあったら早めに病院に相談してください。
- 生殖機能への影響
抗がん薬の中には、精子や精巣の機能ならびに卵子や卵巣の機能に影響して、妊孕性が低下するものがあります。
- 心毒性
抗がん薬によっては、心臓に影響を与えることがあります。心毒性が起こると息切れやむくみ、胸の痛みがでることがあります。抗がん薬の治療が終わった後も症状がでることがありますので、健康診断などで定期的に心臓の検診を受けるようにしてください。
2. 免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイント阻害薬は、体の免疫システムを強化してがん細胞を攻撃します。副作用が起こりにくい反面、(がんのない部位でも免疫反応が強くなることで)免疫関連有害事象を生じることがあります。
- 免疫関連有害事象
免疫システムが過剰に働きすぎて、皮膚、肝臓、腸、肺など全身のどこかに問題が生じることがあります。何かおかしいと感じたら早めに病院に相談してください。
3. ホルモン療法薬
ホルモン療法薬は、特定のホルモンに依存して増殖するがん(乳がんや前立腺がんなど)に対して使用します。ホルモンの働きに影響するため、関連した副作用が生じることがあります。
- 更年期症状
ホットフラッシュ(急な発汗やほてり)などの症状が現れることがあります。
- 骨密度の低下
骨が弱くなり、骨折しやすくなることがあります。
- 体重増加
代謝の変化により、体重が増えることがあります。
- 生殖機能への影響
男性ホルモンや女性ホルモンを抑制するため、妊孕性に影響します。
まとめ
がん薬物療法にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる方法でがん細胞を攻撃します。治療の効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるためには、患者さんと医療チームが協力して最適な治療計画を立てることが重要です。患者さん自身が治療法とその副作用について理解し、適切な対策を講じることで、治療の成功率を高めることができます。また、薬によっても副作用は様々で、上記の副作用がすべて起こるわけではありません。そのため、わからないことがあればスタッフにご相談ください。
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