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掲載日:2024年10月24日
夜尿症児は夜間尿量と膀胱容量のバランスの面から分類されて夜間尿量の多い型(多尿型)、膀胱容量の少ない型(膀胱型)と両者がみられる型(混合型)およびいずれにも該当しない正常型とがあります。
夜間多尿の原因としては2つ考えられます。ひとつは夜間の抗利尿ホルモン分泌の増加が不十分なために夜間にうすい尿が沢山でているものです(=低比重多尿型)。二つ目は摂取する塩分量(時に蛋白量)が過剰な場合に抗利尿ホルモンの分泌に日内リズムができているにもかかわらず、濃い尿の夜間尿量の多いものです(=高比重多尿型)。
いずれにしろ夜間多尿の有無を診断するには夜間尿量を計る必要があります。夜尿のある子どもの夜間尿量は1回ごとに夜尿量(オムツ測定-オムツの重さ)と起床時の尿量を足したものとなります。
夜尿症の中には副交感神経の作用が強く、少ない尿量で尿意が強くなり(不安定膀胱と言います)、膀胱の出口にある括約筋による排尿抑制も不十分で(腹圧性尿失禁と言います)で膀胱容量が少なくなっているお子さんが存在します。
膀胱容量を判定するには昼間に目一杯我慢した1回排尿量(昼間の膀胱容量、1回夜尿量、起床時排尿量(夜間の膀胱容量)を測定します。
昼間遺尿は昼間に本人が知らないうちに尿を漏らすもので、パンツを少し汚す程度のものから大量に漏らすものまで程度は色々です。膀胱の貯めが不十分なためにおきるものが大部分で、決して本人が排尿を我慢しているためのものではありません。夜尿症の病型分類では膀胱型、混合型でみられます。
多尿型、膀胱型の両者の要因があり、夜尿の特徴もあわせもっています。夜尿症児の約3分の1はこの型で、比較的低年齢に多くみられます。
夜間尿量、膀胱容量とも基準値に入っているものは正常型と判定しますが、厳密には多尿型、膀胱型、混合型のいずれかに属します。正常型の多くは夜尿の自立に近い状態で夜尿の程度も軽く、早い時期に自立する可能性の高いものです。正常型の特殊な型として夜尿量が極端に少ないもの(少量型)があります。
夜尿症の重症度は夜尿をする時間帯、回数により以下の様に考えます。夜尿が寝入りばなにあり、1日2から3回、連日みられるものを「重症」、深夜にあり1日1から2回、連日みられるものを「中等症」、朝方1回、時に夜尿のない日もあるものが「軽症」です。自然に自立するまでの平均的な期間は重症では5から6年、中等症では3から4年、軽症では1から2年です。
夜尿の自立が遅れる要因として重症度以外に昼間遺尿の存在があります。特に連日、昼間遺尿がある場合あるいは1日何回も昼間遺尿がある場合には夜尿の自立までに数年以上かかります。昼間遺尿が10歳過ぎまでみられる時には何か病気がある場合があります。早めに検査を受けることをおすすめします。
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