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掲載日:2024年12月26日
この度、令和4年4月に埼玉県立がんセンターの病院長に就任いたしました影山幸雄と申します。
埼玉県立がんセンターは、埼玉県百年記念事業の一環として1975年11月、研究所を併設する100床の病院として発足しました。その後の数度にわたる増床を経て、2013年12月新築移転し現在503床となり、2021年4月には地方独立行政法人埼玉県立病院機構の一員として新たなスタートを切りました。
国から指定を受けた「都道府県がん診療連携拠点病院」として埼玉県のがん診療をリードするとともに、地域の医療機関と連携して埼玉県全体のがん診療の向上に努めております。
当センターの取り組みの一部を紹介いたします。
がんの診断にあたっては、PET-CTや全身MRIなど最新の画像検査を院内で受けることができるように整備しております。血液検査、尿検査、生理検査などを担う臨床検査部門はISO15198の認証を取得し、質の高い検査業務を行っております。がん診療に不可欠な病理診断においても、スタッフの充実をはかり、診断までの時間は大幅に短縮されています。
がん治療の中心となる手術・放射線・薬物療法については最新の技術、機器、薬剤を積極的に取り入れ県民の皆様のニーズに答えるように体制を整えております。手術においてはかねてから力を入れております腹腔鏡・胸腔鏡を利用した低侵襲手術に加えて2014年からは内視鏡手術支援ロボットである「ダ・ヴィンチ」を導入し、着実に実績を上げております。増え続ける患者さんに対応するため2020年から「ダ・ヴィンチ」2台の体制とし、一人でも多くの患者さんが負担の少ない手術を受けられるように努めております。
放射線治療ではより正確にがんに放射線を照射する強度変調放射線治療(IMRT)を基本とし、少ない副作用で高い効果を得られるように努力しております。また画像誘導技術を取り入れ、動きの多い臓器にも効率的に放射線を照射する方法をとっております。最近ではがんの周辺臓器を保護するため、治療するがんの周辺にスペーサーを入れる技術(前立腺がんが対象)も取り入れております。骨転移などを対象にした、RI内用療法(放射性同位元素を医薬品として経口または静脈内投与する治療)も行っております。
がん薬物療法においては従来の抗癌剤治療に加え、分子標的薬、免疫治療薬の導入など急速な進歩を遂げております。当センターでは最新の薬剤を積極的に取り入れ、がんの状況に合わせたきめ細かい治療を行っています。また新規薬剤の導入に向けた臨床試験・治験にも精力的に取り組んでおります。新規薬剤の使用に伴う多彩な副作用に対応するため診療科の枠を超えてスタッフが協力しあうシステムを構築、また2020年からは総合内科を新設しバックアップ体制を強化しました。なお通院でのがん薬物療法を担う通院治療センターは国内でも有数の規模を誇り、多くの患者さんに適切な通院薬物療法を提供するための体制を整えています。
がんの発症には遺伝子異常が深く関係しており、患者さんごとにがんに関連する遺伝子の状況を調べ、有効な薬物療法がないかどうか検討するがんゲノム医療が行われるようになりました。当センターは腫瘍診断予防科を軸として早い段階から遺伝子の情報に基づいた診療を進めてきましたが、2019年9月には全国34か所のゲノム医療拠点病院の指定を受け、周辺医療機関と連携して埼玉県のゲノム医療の推進に努めております。これに関連し、併設する臨床腫瘍研究所では発がん機構の解明から、がんの予防・治療につながる研究を行っています。
がんに伴う不快な症状を緩和するための緩和医療にも力を入れており、診療早期の段階から積極的に介入し、闘病中の皆様ができるかぎり快適に過ごせるように支援しております。緩和病棟は県内でも有数の規模を誇り、質の高い緩和医療を多くの皆様に提供できるように体制を整えております。
がん診療を円滑に進めるため主に入院診療を対象とした入退院支援センターを設置し、実績を上げてまいりましたが、この度入退院支援センターを発展させる形で「患者サポートセンター」を立ち上げることになりました。医師、看護師のみならず薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなどが積極的に関与し、がん診療全体を支援する体制を整えております。既存の地域連携、相談支援センターと連携して社会的な問題も含めてきめ細かい対応が出来るようになります。
また感染症対策に万全を期し、より安全ながん診療を提供するため、感染管理室、医療安全管理室の機能を強化すべく努力を続けています。さらに、病院機能全体の機能、診療の質を高めるためTQM(Total Quality Management)推進室を設置し、日々改善への取り組みを進めております。
以上の他にも病院機能の向上、より洗練されたがん診療の提供にむけて職員一同が様々な形で精力的に活動して成果をあげております。私たちが病院の理念として掲げる“唯惜命~ただ命を惜しむ”を念頭に、多くの皆様ががんを克服し元気で幸せな人生を送れるように引き続き努力を続けて行きたいと思っております。
埼玉県立がんセンター病院長
影山 幸雄
“唯惜命~ただ命を惜しむ~”
私達は生命の尊厳と倫理を重んじ、先進の医療と博愛・奉仕の精神によって、がんで苦しむことのない世界をめざします。
埼玉県立がんセンターは、次の基本方針のもとに、「先進的ながん医療を実践する進化する病院」・「日本一患者と家族にやさしい病院」をめざします。
当院は病院の理念として掲げる"唯惜命~ただ命を惜しむ"を実現することを目的とし、基本的人権と患者さん権利、および医療倫理の原則指針に基づき、「臨床倫理に関する指針」を定めています。
埼玉県立がんセンターでは「唯惜命」の理念に基づき、患者さんの権利を尊重した医療の提供に努めております。
患者の皆様には、これらの権利を適切に行使して、私たち医療従事者と共に力をあわせ、治療に参画されることを期待します。
埼玉県立がんセンターでは、「児童の権利に関する条約(1989 年 11 月 20 日に第 44 回国連総会において採択され、我が国は、 1990 年 9 月 21 日にこの条約に署名し、1994 年 4 月 22 日に批准 、 1994 年5 月 22 日に効力が生 じている)」の下記の条文に基づいて、子供たち(児童)の権利(生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利)を尊重する。児童とは十八歳未満のすべての者を言う。
1. 生命に対する児童の固有の権利を認めるものとし、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。(第六条)
2. 児童がその父母の 意思に反してその父母から分離されないことを確保し、また、父母の一方又は双方から分離されている児童が父母 との接触を維持する権利を尊重する。(第九条)
3. 児童が自由に自己の意見を表明する権利を確保する。児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に 考慮される。(第十二条)
4. 児童は、表現の自由についての権利を有する(第十三条)
5. 精神的又は身体的な障害を有する児童が、その尊厳を確保し、自立を促進し及び社会への積極的な参加を容易にする条件の下で 十分かつ相応な生活を享受すべきであることを認める(第二十三条)。
6. 到達可能な最高水準の健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のための便宜を与えられることについての 児童の権利を認める(第二十四条)。
7. 養護、保護又は治療を目的として収容された児童に対する処遇等に関する定期的な審査が行われることについての 児童の権利を認める(第二十五条)。
8. すべての児童が社会保障からの給付を受ける権利を認めるものとし、このための必要な措置をとる(第二十六条)。
9. 相当な生活水準についての児童の権利を認める(第二十七条)。
当センターでは、だれもが快適で有効な診療を受けていただけるよう、次の事項を患者さんとそのご家族の方々の責務としてお願いしております。
新しい薬の臨床治験や新しい治療法の開発のための臨床試験、患者サービス向上のためのアンケート調査などにご理解・ご参加をお願いすることがあります。
すべて臨床試験審査委員会、倫理審査委員会での審議を経て承認されたものです。ご同意が頂けた場合のみ手続きを行います。
がん医療の発展のためにご協力をお願いします。
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